興奮するルカにジョシュは優しく説明するが、信じたくないのかルカは頑なに現実を受け入れようとしない。

このままではらちが明かないと思い牙を見せると、ルカはフッと意識を失ってしまった。


「この子はどうしてこの世界に連れて来られたんだろう。」

「『この世界の住人』だからだろう。」

「それ、どういう意味だろうな。 この子の存在は俺たちに幸運をもたらすのか……それとも災いをもたらすのか……どっちだろうな。」

「さぁな。 それより気になる事が多すぎる。 謎の術者、目的、そしてネックレス……忙しいところ悪いが、調べてくれるか?」

「勿論。 俺も気になるからね。 それと、出来ればルカを元の世界へ帰してあげたい。 人間の統一する世界で育ったこの子にこの世界は酷すぎる。」


ジョシュの言う通りだ。身寄りもないこの世界でただの人間であるルカが生きていくには、辛く苦しく恐ろしい場所だろう。

ルカの顔にかかった髪の毛を、指先でそっと払った。


「もしかしたらこの子はローズの生まれ変わりかもしれない……一瞬だがそんな風に思ってしまった。」


ジョシュの言葉に寂しさが募る。


「生まれ変わりだろうと何だろうと、ローズではない。 ローズでなければ女など皆同じだ。」


自分に言い聞かせる様に何度も頭の中でその言葉を繰り返した。

後悔の念が蘇る。もう取り戻す事の出来ない幸せを何度願っただろう。何度君に焦がれただろう。

ローズ、君と笑い合っていた日々が昨日の事の様に思えるよ。