ルカの言葉に俺もジョシュも驚いた。ニホンなどという国はこの世界の何処にも存在しない。

ただ空間を移動してきたのではなく、異世界との空間を通ってきたと言うのか?


「えっと、ジャパンです。」


ルカが言いなおした言葉もこの世界には存在しない。

ルカをこの世界へ連れてきた術者の目的が分からない以上、迂闊に外に放り出すのは得策ではないかもしれないな。


「本当にフードの人とは関係ないんですか?」


ジョシュと顔を見合わせた。当たり前だが、ジョシュは何も知らないという顔をした。


「お前の言うフードの奴とつながりがあれば、わざわざお前に話を聞くなどと面倒な事をする必要がないだろう。」


ルカは納得した様な顔をすると、おもむろに口を開いた。


「じゃあ私を帰して。 あのフード男と関係がないなら、私がここにいる理由はないでしょ?」

「俺の考えが正しければだが、ここを出てもお前の帰る場所などないぞ。」


ルカは困惑した顔をすると、助けを求めるようにジョシュの顔を見た。いくらそんな顔をしようとも、答えは変わらない。


「ルカ、君の言っているニホンやジャパンという国はこの世界に存在しないんだよ。」


驚いた顔をしたと思ったら、それは直ぐに怒った顔へと変わった。