「泣くなと言っているだろう。」

「っ……。」

「シエル、そんな言い方したら余計泣いてしまうだろう。」

「はっ、不法侵入者に優しくしてやる義理はない。」

「不法侵入って……この子が? ただの人間の女の子だぞ? そんな子がこの城に、ましてや君の部屋に忍び込めるとは到底思えない。」

「俺も思えないね。 さっきからこの女に話を聞いているんだが、話が進まん。」


目を伏せたルカに苛立ちともどかしさを感じ、つい舌打ちをしてしまった。

ジョシュがルカの隣に腰を下ろすと、ルカはおずおずと視線を上に向けた。


「初めまして。 俺はジョシュ。 貴女のお名前は?」

「……瑠花、です。」


ルカは明らかにホッとした顔をした。

俺の時と態度が違い過ぎるだろ。


「もうシエルに聞かれたかもしれないけど、どうやってここに入ったのか教えてくれるかな?」

「あの……本当に分からないんです。」

「いい加減にしろ!! そんな事があるわけがないだろう!!」


思わず怒鳴るとルカの顔がサッと青くなった。その顔を見てやってしまったと思った。

俺は何を焦ってるんだ……ダメだ、こいつと居ると調子が狂う。