「柊(ひいらぎ)様、お待ちしておりました。 ただいまご案内致します。」


毎年私の誕生日はこのホテルのレストランで両親がお祝いしてくれる。

綺麗に夜景が見られる席へ案内され、支配人が引いてくれた椅子に腰を下ろした。ここから見る夜景はいつも見惚れるくらい綺麗だ。


「瑠花、お誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」


シャンパンの注がれたグラスを手に、乾杯した。

シャンパンと言ってもノンアルコールだ。私は未成年だし、お母さんはお酒が苦手。お父さんは普通に飲めるけど、今日は運転もあるし、それがなくても普段から滅多に飲むことはない。心臓外科医のお父さんはいつ病院から緊急の連絡が入るか分からない。

そんなお父さんとお母さんは職場恋愛だ。同じ病院で看護師をしていたお母さんにお父さんが一目ぼれしたらしい。

私もお父さんみたいな人と出会って結婚したいなって思う。


「瑠花、これは私たちからの誕生日プレゼントだよ。」


食事も終盤に差し掛かり、両親に差し出されたリボンのついた四角い箱。私はそれ手に取った。


「ありがとう! 開けてもいい?」

「勿論だ。」