どのくらいの時間が経っただろうか。女が勢いよく体を起こした。


「お前は誰だ。」

「っ！？」


俺の存在に気付いていなかったのか、声を掛けると女は驚いた顔をした。


「誰だと聞いている。」

「っ……。」


女の顔がみるみるうちに怯えた表情へと変わり、苛立ちを覚えた。

起きている時の女はローズの顔に益々似ていて、その顔で怯えた顔をされた事に胸がざわついている。


「その口は飾りか？」


相変わらずだんまりな女に近づき、ベッド脇に腰を下ろした。

女の顎を掴み上げ、顔をマジマジと見た。女の瞳は髪の毛と同じく深い漆黒の色をしていた。


“起きてるか？”


ジョシュにテレパシーを送った。


“あぁ、起きてるよ。　こんな時間にどうしたんだ？”

“ちょっと俺の部屋に来てくれ。”

“こんな時間に呼び出しとは珍しいな。　直ぐに行くよ。”


確かにこんな時間にジョシュを呼び出すのは初めてかもしれないな。