見えていないはずなのに、私の涙が止むと直ぐに体が離れた。好きどころか印象最悪な相手な筈なのに、何だか恥ずかしくてまともに顔が見れなかった。


「ルカはウェルヴィアの住人?」

「うぇる……え? あの、ごめんなさい。 地理はあまり得意じゃなくてその国が何処にあるのか分からないんですけど、私が住んでるのは日本です。」

「ニ、ホン……?」


ジョシュさんに驚いた顔をされて、チラッとシエルに視線を向けるとシエルも驚いた顔をしていた。

まさか日本を知らないの?二人とも見るからに日本人じゃないし、言い方が悪かったかな?


「えっと、ジャパンです。」


更に訳が分からないという顔をされて、私も訳が分からなくなった。


「本当にフードの人とは関係ないんですか?」


私の問いかけにジョシュさんとシエルは顔を見合わせた。


「お前の言うフードの奴とつながりがあれば、わざわざお前に話を聞くなどと面倒な事をする必要がないだろう。」


シエルの呆れた声にそうだよねと納得してしまった。


「じゃあ私を帰して。 あのフード男と関係がないなら、私がここにいる理由はないでしょ?」

「俺の考えが正しければだが、ここを出てもお前の帰る場所などないぞ。」