「遅くなりました」

「シエル様、ジョシュ様、ご無沙汰しております」



立ち上がったアマンダは俺たちに笑顔を向けた。相手がルカだったらなんて愛らしいのだと人目も気にせず抱きしめていただろう。もしそんな事をしたら、ルカは顔を真っ赤にして照れた顔をしながらも怒るんだろうな。



「二人とも掛けなさい」



父にそう言われ、俺はアマンダの隣に、ジョシュは俺の隣に腰を下ろした。



「先に申し上げておきますが、仕事が残っている為あまり長居はできませんので」

「せっかくアマンダが来てくれているというのに、お前という奴はまったく……」



白々しく呆れた顔をする父に、思わず悪態をついてしまいそうになった。顔を出しただけでも褒めてもらいたいくらいだ。



「いいんです、おじ様。 国に関わる大切なお仕事ですもの。 私は少しでもお会いできるだけで幸せです」



恥ずかしそうに頬をほんのり赤く染めるアマンダ。純血の姫というだけあって美しいとは思う。だがアマンダに何を言われようと心には響かない。別にアマンダの事が嫌いなわけではないが、好きでもない。どうでもいい……その言葉がしっくりくる。


俺もセリアル同様、会話を聞いているだけで自分からは話しを振らなかった。何か聞かれたら答える。ただそれだけだ。