子供の頃はいつもこの部屋で過ごしていた。


見慣れた室内。


昔は何とも思わなかったが、今は居心地が悪い。そう思うようになったのはローズを喪って暫く経った頃かもしれない。


国王である父に久しぶりに一緒に食事をしようと言われ、家族でテーブルを囲って座っている。食事どころか、両親とは顔を合わせるのも久しぶりだ。



「アマンダとは会っているのか?」

「いいえ」

「婚約者だろう」

「何度言えば分かるんです? 俺はそんなの認めていませんから」



顔を合わせる度アマンダの話しをされる。耳にタコだ。それが嫌という事もあって、父とは極力合わない様にしている。早く結婚してほしいのは分かるが、こちらの気持ちも察してほしいものだ。



「部屋に人間の女を囲っているらしいな」

「それが何か?」



深いため息をつく父に苛立ちを覚える。


とっくにルカの事はばれているとは思っていたが、今この場で聞かれるとは思っていなかった。