幸せ行きのチケット

二人共喜びが隠せないほどうれしかった。

次は私の番だと思うと、さらに緊張が増してくる。

ゆっくり深呼吸をして、心臓を落ち着かせた。

……………。

……………。

自分の走りを大切に。

抜かされたら抜かせばいい。

それまで絶対焦らない。

いつものように集中力を集め、自分にいいきかせた。

スタートの位置につき、ピストルの音を待つ。

「位置について〜。……よ〜い…どん!」

男子の部がスタートした。

ペースは順調。

何も考えずに走る。

…………。(1周目)

…………。(2周目)

やばい。

中島速い。

でも絶対負けたくない!

少し焦ってきたのか、呼吸が乱れてくる。

足もちょっと痛い。

それほど中島との距離は長くないが、ちっとも距離が縮まらない。