幸せ行きのチケット

「お前な、免許なしに走っていいと思っとんのか?」

「ダメなことは分かってます。けど、俺には走ることしかないんですよ。」

急に携帯の音が鳴った。

多分友利からだろう。

携帯を出し、電源を切った。

「いいのか切っちまって。彼女さんだろ?」

「いいです。…で、俺は何年牢屋行きですか?」

その問いに、有竹はすぐに答えられなかった。

「………もし、お前が今日からバイクに乗らないと約束するなら逮捕しない。」

え……。

「お前はまだ高校生だ。しかも卒業も近い。本当なら逮捕だが、俺はお前に一つ借りがあるからよ。」

「いいんすか?上の人にクビになったりとか。」

「俺は借りはきっちり返す主義だからな。秘密だぞ。そこにいるやつも黙ってくれることになってる。」

「始めから捕まえる気がねぇなら連れてこなければいいじゃないっすか。」

「無免許運転は危ないだろ。16歳から免許はとれるが、お前の高校はバイク禁止だもんな。だから早くやめさせたかったんだよ。とにかく、走るのやめるかやめないか。早く決めろ。」