幸せ行きのチケット

★★★★★★★★★★★

友利が目の前にいる。

信じられないような感覚から一週間、今は退院して友利と俺は自分の部屋にいる。

友利は忙しそうに俺の服をハンガーに掛けてくれているようだ。

その光景が、なんだか一つの家族のようで、この部屋いっぱいに温かい空気が溢れていた。

あの日俺は車にひかれ、意識を失ってしまった。

病院のベットの上に寝かされていることに気付いた俺は、手も足も動かせない状態になっていて、悲しみのあまり涙が出てしまった。

俺には両親もいないし、兄貴も今は地獄の場所にいる。

だから、事故にあった俺に会いに来てくれる人は誰もいない。

ただ一人、この病院で退院を待つだけだった。

そう思うと本当に悲しくなってきて、人生生きている意味なんてどこにもないと思ってしまった。

ちょっとトイレに行こうと立ち上がり、懸命にどこかに捕まりながら歩いた。

チャリン。

後ろで何か物音がしたが、あの時は振り返ることさえ難しい状態だったから、無視して自分の病室をあとにした。