ドアの向こうには、一つのベットがあり、窓も開いていて病院らしい風景が広がっていた。

真っ白なこの部屋には、今祐輔の姿はない。

会いたい時に会えないこの辛さ。

「祐輔…。どこ?」

その時、私は近くにクマのキーホルダーが落ちているのを発見した。

これは…祐輔のバイクのキーについていたキーホルダーだ。

私はそれを手にとり、窓際に立って空を見つめた。

一滴の涙はクマを濡らす。

まだ涙は止まらないようだ。

いつになったら止まるのだろう。

ガチャ。

ドアで音がした。

反射的に音がしたほうを向く。

そこには車椅子に座った祐輔の姿があった。

私は、ゆっくりと祐輔の元へと歩み出した。