幸せ行きのチケット

広い海を見渡せるこの場所に立ち尽くす私は、策に手をつくほど近付いていた。

最初、男の人だと気付いた時、変態だったらどうしようと迷った。

でもこんな綺麗な場所にいる人が変態だと信じたくなかった。

それに、本当にここから見る海が綺麗だったから、思わず近付いてしまった。

男の人は、私に気付いたのかかなりびっくりした様子だった。

けどすぐに海を見て、急に話しかけてきた。

「ここ、すごく綺麗だろ。」

響く低い声は急に私の頭に入ってきた。

その声からして、私と同じくらいの年齢だと思った。

「…はい。すごく、癒されます。」

「俺もそう思う。嫌な事とかがあったら、必ずここに来るんだ。ここなら嫌な事も忘れられるから。」