◆水溶液◆



小さな空間

閉じられた部屋

自己主張なんて要らなくて


必要なのは

空気を読んで動くこと


自分で考えるなんて論外で

ただ息を殺して

狙われないように気をつけて


ああ、疲れた


そんな呟きは

誰に届くこともなく

届いたところで

この体ごと

焼き捨てられてしまうだけ


いつからだ

息を殺して諦めて

何も考えないように

何も感じないようにと

へらへら笑って乗っかって

自分はどんどん削られて


私はいったいどこにいる?


そんなのは知らない

どんどん削れて消えてった

私はどこかに溶けている

クラスという名の水溶液


溶け残ったのは捨てられて

ろ過されるのは苦しくて

だから うまく通れたときには

ほっとする


狭い穴をくぐって

無事に混ざれた


もしも通れなかったら?

捨てられるだけだよ


捨てられるのは怖いから

今日も笑って知らんぷり


考えないで背負わないで

いつでも溶け込めるように

溶け残ったりしないように