だがこんな男でも序列3位の貴族家の家主なのだ。


この国には10の貴族家があり、国への影響力や魔力の高さなどから王により貴族の順位が決められる。

1位のトゥウォーリー家、2位のウィルネブル家、そして3位のクライシア家などのように。


そして序列一位から三位までの貴族の家主には誉れ高い役職が与えられる。

犯罪を犯したものを法の力で裁く魔法裁判所の裁判長、王宮にて国政を担当する宰相、軍を取り仕切る元帥などの役職が授与される。
武術、魔法共に優れているルークは四十代という若さで元帥の称号を受け取った。


こんながさつで豪快な男はとても貴族のように見えないが、こんなルークだからこそ賑やかで温かい家庭が築かれるのだ。


「ほらほら、スープが冷まっちゃうわ。早く食べましょ!」


未だ睡眠について語り続けているルークに促すように言う妻マーシャ。


マーシャは元々平民の生まれだが、貴族のルークと恋に落ち、クライシア家に嫁いだ。

マーシャ然りこの木造二階建ての家然り、ルークは庶民的な生活を好む。
勿論家には使用人などいない。この家にいるのはルークとマーシャ、チェルノにソフィアの四人だけだ。

貴族以上の位を持つ家はレンガや石造りの屋敷に住んでいるが庶民的な生活を好む故にルークは木造二階建ての家に住んでいるのだ。