「て言うか、話が脱線しすぎ。先に進まない。
•••他に、気がついたことは?」
アルフェに問われ、考え込むフランだったが、頭には何も浮かんでこない。
「他に•••?
••••あったか?」
「手がかりはお前の記憶だけなんだぞ。
しっかりしろ。
数分前のことも思い出せないなんて。
お前は本当に首席なのか?」
そんなフランにまたもやルーウェンがよけいな一言を。
「いちいちうるせぇな。
•••あっ、そうだ。
そう言えばその四人が学食出て行くときランチ持ってったんだ。それにセロン・ウィーカスは一年首席。
•••ここからは俺の予想でしかないんだけどな。」
「その予想って?」
「セロン・ウィーカスの部屋にランチ持ってったんじゃねぇかってことだ。」
「なるほどね•••確かに学年首席の友達がいるとその部屋に集まることが多いからね。今の僕達みたいに。」
「そのセロン・ウィーカスの部屋は何処にある」
ルーウェンのその問いに、フランは右手の人差し指で下を指す。
「南校舎の二階。
つまりこの真下だ。」
その回答に、アルフェは数秒考え込み、そして決断を下す。
「じゃあ、行ってみようか。
それが一番手っ取り早い。」
そういい放つと、直ぐにアルフェは二人掛けのソファから立ち上がり部屋を出ていった。
それに続くようにルーウェンも部屋を出て行く。
一人残されたフランは深く息を吐き、そして小さくつぶやく。
・・・
「やっぱり王子様にはかなわねぇな」
そしてフランは重い腰を上げ、二人の後を追うように部屋を出ていった。


