それほど厚い本ではなかった事とかなりのめり込んでいた為、僅か二十分程度で本はあと四、五ページを残すだけとなっていた。
そんな中、ソフィアはさらに一ページをめくる。
そのページで物語は終了するらしく、左側のページには何も書かれていなかった。
さらに次のページをめくってみるも、その二ページも真っ白だった。
「あとがき書く予定だったとか?」
ふと思ったことを呟きながらめくった一ページを戻し、物語の最後の一文を読む。
“契約を交わした時、我らは主の力となり、物語は再び動き出す”
物語は一風変わった終わり方をしていた。
続編があるのか、はたまた読者の想像力をかき立てる為の工夫なのか。
あるいはもっと他の解釈の仕方があるのか。
再び考え込んでいると図書室のドアが勢いよくあき、そこから見覚えのある赤毛が覗く。
「やっぱまだここに居たか。」
「え、レヴィ?どうしたの?授業は…」
開いたドアの前にいたのはレヴィだった。
「授業はじゃねぇよ。時計見ろ時計、十二時半!とっくに授業なんか終わってる。もう昼だぞ。」
そんなはずはないと思いながらもレヴィに言われた通り、図書室の時計に目をやる。
現在時刻12時33分。
四限終了時刻からもう既に十五分以上経過している。
「え、嘘!いつの間に…」
それほどあの本に夢中になっていたということだろう。
驚いた様子のソフィアに促すようにレヴィが言う。
「セロンとルルアが食堂で昼飯買って待ってるぞ。俺らも早くセロンの部屋行くぞ。俺もう腹ペコなんだよ。」
腹の虫の声を響かせながら図書室を出て行くレヴィ。
そんなレヴィを見て後を追おうとするが、ふと自分が持っていたあの本に目をやる。
少し考えた後ソフィアはその本を持ってレヴィの後を追うように図書室を出た。
あの本が置いてあった場所では、光に包まれた小さい何かが2人が出て行った方をじっと見つめていた。


