底知れぬ才能を持って生まれたのにも関わらず魔法を使うことが出来なかった。
これが両親と王宮の使用人から煙たがられ王宮を追放された原因だ。
そしてクラスでもソフィアは煙たがられている。
“魔法を使えない奴が何でこの学校にいるんだ”“クラス対抗戦の足手まといだ”などと言われている。
そのたびに同じFクラスのレヴィが周囲ににらみを利かせたり、セロンが無言の圧力をかけたりするが、一時的に陰口が無くなるだけであって根本的な解決には至っていない。
周囲は直ぐにまた足手まといだの落ちこぼれだの言い始める。
中等部のころからずっといわれ続けているため、ソフィアは大分陰口に慣れたが、未だ“落ちこぼれ”と言う言葉には心が痛む。
ソフィアは幼い頃から“落ちこぼれ”という言葉を浴び続けてきたのだ。
だからと言ってソフィアが努力を怠っているわけではない。
魔法が使えないなら使えるようになるまで。
ソフィアは暇さえあれば学校の図書室や国立魔導図書館などで学習している。
だが身につくのは魔法実技以外の知識ばかりで一向に魔法が使えるようにならない。
魔法実技以外の成績はいつも上位だが、肝心の魔法実技はいつも最下位。
次こそは使えるようになろうと数々の魔導書を読み、実践してみるも、やはり魔法は使えない。
ここまでくると流石に心は折れてくる。
自分はこのまま一生魔法が使えないのではないか。
そう考える度に“落ちこぼれ”という言葉がソフィアの胸に突き刺さる。


