ケイに言われて初めて気がついた。俺は慌てて腕で涙を拭って微笑んで見せる。
「コンタクト!ズレちゃって…ハハ、気にすんなよ」
「…コンタクト?」
ケイは首を傾げて不思議そうに俺の目を見つめていた、俺は必死に笑って何もなかったことにするのに必死で…、誰でもわかる嘘をついて…
「龍、今日行きたい店があるから一緒に帰ろう」
「うん…、おっけー」
ほら、きっとケイは心配しすぎなんだよ…ケンジは普通じゃんか!…そんな風に俺のことみんなよ…そういう目…似てるから辞めろよ。
ケイの瞳は似ていた…それが誰なのかはわかってる。でも、それは考えちゃいけない…
もう関係ないんだから…、もう終わったんだから。
チャイムが鳴る…
俺は黙って席につきそのまま眠るふりをした。
「龍ちゃん?」
今は誰とも喋りたくない…何も考えたくないんだ…
なんでだろう…もう、終わったのに…もういないのに…
「苦しい…」
胸が苦しい

