急いで、走って…図書室を出るとすぐに人にぶつかった。
「うわ、ごめん…」
「ヒーは?」
その低音な声に俺はすぐに顔をあげ誰か確認した。
「那智…」
「ヒーは?食堂で絡まれてたって聞いたけど…食堂にいない。知ってるか?」
「…し、知らない。なんで一人で食堂行かせたんだよ」
いつ見ても那智は黒いオーラーを放っていて、どことなく見上げてしまう。那智から一歩下がり聞くと那智は図書室の奥を遠めで見つめていた。向日葵は個室に入ったままならわからないとは思うけど…。
「関係ない…それより、なんで泣かせた」
「は?それこそ那智に関係ない!」
「俺はちゃんと言った、近づくなって」
ガシっと掴まれた肩に那智の力が入っていくのが分かった。俺はその手を見つめたまま口を開いた。
「お前が…那智が見張ってないからだろ…」
「…どういう意味だ?」
眉間にしわを寄せ俺を睨む那智はいつも以上に怖かった、それでも俺は那智の手を無理やり振り払い俺のなかで一番怖い顔にして睨んだ。
「好きなら縄でも繋いで見張っておけよ!会いに来たのはアッチだ!」

