その言葉を聞いて嬉しく思う自分がいたのと反対に、那智が頭を駆け巡った。
「………。」
「…風邪だったんだって?もう大丈夫なの?」
テーブルにもたれてニコニコと微笑む向日葵…
「うん…大丈夫だよ…。」
「そうっか~よかった!」
図書室は静かだ…個室になると余計に静かになる。ここには2人だけなんだって思うと手に汗がダラダラと流れる。
「なんで…なんで会いたかったの?あんな事言ったのに?」
「それを言うなら、何で助けてくれたの?」
「え?」
「俺なんかキモイのに…男が男を好きなんだもんね…」
さっきまではニコニコと笑みを浮かべていたのに、今は無理やり作った笑みになっている。
「それでも、龍に会いたかった。食堂に行けば会える気がした…キモイって言われても、そばにいたかった」
止まっていた涙がまだボロボロと向日葵から流れていく。
「好き?俺のこと…龍は好き?」
その必死な顔が見ていて辛い…。好きなのに、好きといえない…。言えばいいのに…

