いつのまにかケンジの声は自分より後ろに聞こえていた。
手が自然と伸びて、向日葵を囲む先輩の間を割って入った。
「お前、なんだよ?」
「龍…」
向日葵の腕を掴むと、そのまま自分に向日葵を引き付け抱くようにして先輩達から向日葵を離した。
「おい、今俺らがコイツと…」
「苛めてるんですか?」
ギロっと先輩を睨むと、相手はニヤリと微笑んだ。
「遊んであげてんだよ!な?向日葵ちゃん」
クスクスと笑う声が耳に響く。向日葵を見ると、顔を真っ赤にして涙を流している。
「っりゅう…」
「おい、お前らそこで何してんだ?佐々木!お前指導で呼ばれてたぞ」
かすれた先生の声が聞こえた。振り返ると、先生が不思議そうに俺らを伺っていた。
「何でもねーよ…」

