「お、なかなか様になってるじゃないか」

 茶化すような父の言葉をスルーして、伊織は自分の席へ着くとピッチャーに入ったオレンジジュースをコップに注ぎ始める。

 目の前のプレートには、スクランブルエッグにハムチーズトースト。
 その横にはコールスローサラダとシリアル入りヨーグルト。

 絶妙なバランスを考えながらオレンジジュースを配置した伊織は、爽やかな朝の光の中に映える朝食の色彩に満足気に頷いた。

(うん、これで高校デビュー、幸先いいこと間違いない)