『その女が死に……

魂だけになった女は、初めて俺に頼み事をしてきた』


『頼み事?』


『ああ……

自分の子孫には、悲しみを与えないでくれと…頼んできた』


『まさか……
その彼女と先ほどの男性は……』




俺も初めは分からなかった

だけど、あの男の魂が俺を呼んでいたのに気づき、魂に声をかけると……



『女の子孫が、あの男だったんだよ』



アイツは、あの男の魂の中で生き続けていた

自分の子孫を見守るために、生まれ変わらず……ずっと見守っていた



『でも子孫だからと言って
天使だった頃の約束ですよね?

あなたは、今……堕天使
守る必要ないと思いますが?』



『約束は約束だからな……

一度、約束したからには……
最後まで、その約束を守るさ』




天使の本分でやつか?

優しいんだよ、俺は




『他に人間と約束したことはないですよね?』


『ああ…ねぇよ』



天使が全ての人間と約束するか?

俺は、そこまで出来た天使じゃねぇよ




『では、もう契約の邪魔されないですね』



コランは、天使のような笑みを浮かべると紅茶が入っていたカップを片付けに行った




邪魔?

そんなのするかよ


これ以上、お前を怒らせると何するか分からねぇからな……


アイツは、俺を狙っている

だから、隙を見せたり怒らせるようなことは、なるべくしないようにしている



まあ、俺の方が強いけどな?

アイツの何考えてるか分からないとこが不気味だから、下手に怒らせないようにしている



『カーラ!!

また、あなた……僕が大事にとって置いたクッキー食べましたね…っ!?』




あっ、やべ……

さっそく、怒らせちまった……




『た、食べてねぇよ』


『嘘ついても分かりますよ!』




そ、そうだった……

コイツ、心が読めるんだった…




『カーラ…っ!!』


『分かった、分かった!!

また、人間界で買ってきてやるから
そんな怒んなよ』




俺はすぐに店から出て人間界に向かった




くっそ…っ!

クッキーみたいな甘いもん甘党な俺の前に置いておくなよな…っ!



あーあ、なんで元天使の俺が……

元悪魔のアイツにパシリに扱われないといけねぇんだよ……!!



人間も悪魔も天使も……

他の奴等、みんな大っ嫌いだ…っ!!!