『その女には俺の姿が見えていた

その呪いのせいだろうな……人間には見えないものが見えてしまっていたんだ


俺はその女と話すだけだった

本来、天使は人間と関わってはいけない


だから俺はその女を見守るだけだった』




『その人間は………あなたに何も言わなかったのですか…?

呪いを受けていたなら、天使なら解いてよ!とかいうはずですよね?』




まあ、確かに……

普通の人間なら、俺ら天使を見たら言ってくるだろうな…




『それがさ………言わなかったんだよ

アイツは、何も言わなかった


俺が天使だと知っても何も言わずニコニコと笑っていたんだよ…』



『………信じられませんね

そんな人間がいるはずがない


人間は僕たち悪魔より…

欲深い生き物です


そんな聖女みたいな心をもった人間がいるはずない』



『いたんだよ

本当にいたんだ…』




俺だって最初アイツと出会ったとき同じことを思っていた

だけど、アイツと一緒にいるうち
アイツは本当に聖女のような心の持ち主だった



でも………



『……………強く見えて…

本当は、か弱い女だったけどな…』




周りの奴等には、笑顔を絶やさなかったが……

毎日、泣いていた


俺が天使だったからか……

俺の前では、涙を見せていた


その姿を俺は何度も見て……

何も出来ない自分を悔やんでいた


助けてやることも出来ず……

慰めることも出来なかった




『それで?

その女性とさっきの男性を助けた理由に何か繋がりがあるのですか?』




俺が何故肩入れしたのか知りたいコランは、俺が遠回しに話しているのが気に食わないのか冷たい表情をして言ってきた