僕はカーラさんに連れて行かれ
また、藍の家に戻ってきた


『行け…』


カーラさんは、そう言って僕の背中を押した
僕は勇気を出して、藍の家のチャイムを鳴らした

チャイムを鳴らした瞬間
すぐに家のドアが開き、焦った顔をした藍がいた


藍は僕に気づくとニコッと笑った


「急に家から飛び出したので心配しました…
何か用事でもあったのですか…?」


ああ…
僕は家から飛び出していたのか…


「ご心配おかけして、すみません…
ちょっと心の整理をしたかったもので…」

「心の整理…?」


藍は不思議そうな顔で僕を見つめていた


僕は言葉が出てこなかった…
伝えたいことが、たくさんありすぎて…

どう言えばいいのか分からずにいた


「………あっ、そちらの方
見つかったみたいで、よかったですね」

「えっ…?ああ…」


藍は僕の後ろを見ていて
僕はカーラさんを見ているのだと気づいた


「立ち話もなんですし…
どうぞ、中に入ってください

そちらの方もどうぞ」


藍は僕たちにニコッと微笑むと
ドアを大きく開いて、家に中に入れてくれるようだった


「いえ、そんな長話にならないのでここでいいです

あの、藍さん……」

「はい…?」


これだけは伝えたい…


「あのときは、ゴメン…

あと、僕はこれからも
ずっと愛してるから…」


僕は藍に言葉を濁して言った


伝わらなくていい…
藍は今幸せなんだ…

だから、僕みたいなヤツが急に現れても困るだけだ


藍の幸せを邪魔するわけにはいかない
藍にこの言葉の意味が伝わらなくても…

僕は、藍に伝えたかった言葉は言えたから満足だ…
また、あっち ( 天国 ) であったら伝える


「サヨナラ…」


僕は藍に背中を向け、カーラさんを見て
カーラさんにもう十分だと目で伝えた

カーラさんは、僕の気持ちが分かったのか
頷いて、僕の手を握った


「ま、待って…っ!し、心太…っ!」

「……っ!」


カーラさんが元の時代に戻ろうと魔法を使った瞬間…
藍が僕の名前を必死に叫んでいた

だけど、魔法を使ってしまっていたので
僕は藍の顔を見て微笑むしか出来なかった
藍は崩れ落ちるようにその場に座り込み
僕を悲しそうな顔で見つめていた


ゴメン…
藍…


僕はそのまま、カーラさんの店に戻った