学校の校門を出て、すぐ左に曲がる。
3つ目の信号で右に曲がると駅に着く。
電車に揺られる事30分。
人の多いホームを抜けて、外に出る。
道沿いに歩いて、左に曲がる。
歩くこと10分。

あたしのバイト場所…
「flower」という名のキャバクラに着いた。
あたしは週4、ここでバイトしている。

私の5倍ほどあるドアを押して中に入ると…

「みれいー♡ おかえり」

杏樹さんの可愛らしい声が店内に響く。
杏樹さんはこの店のママ。
とても綺麗な人で、あたしの憧れでもある。

「杏樹さん、ただいま」

あたしは杏樹さんに一言言うと、ドレスに着替えに、裏の部屋に向かおうとした。

その時

「みれい!あのね、みれいにとーっても似合うドレス注文しといたのよ。みれいのロッカーに入ってるから着てね♡」
「あ、ありがとうございます!」

杏樹さんったら大きな声で言わないでよ。

あたしは杏樹さんのお気に入りNo.1で、お客さんの指名もNo.1のいわゆる、女帝的存在なのだ。

杏樹さんはそんなあたしに甘く、たくさんのドレスをプレゼントしてくれる。

周りの仲間はあたしを憎んでいるに違いない。

ほら、今だって、
他の皆に痛いほど睨まれる。

あたしが頼んだ訳じゃないのに。

あたしは杏樹さんのこういう所があまり好きではない。

そう思いながら、あたしは裏の部屋へ向かった。