普段、翔ちゃんには隠し事をしない。全て話す。

今もそうだ。

ただ、あたしの恋心だけはバレないようにしてきた。

感づかれないように、何度も嘘をついた。

翔ちゃんには見透かされてしまいそうだったから。

翔ちゃんは私のことを幼なじみとしてしか見ていない。

だからきっと、あたしの気持ちを知ったら離れてしまう。

─あの時だって、いつも笑顔の翔ちゃんが顔を曇らせた。

翔ちゃんは私のことをなんでも分かっているのに、あたしは翔ちゃんの気持ちがまるでわからない。

だから、蓋をするしかなかった。
そして、何重にも鎖を巻いて、鍵をかけた。

開かないように。