「夏海ー、帰るぞ。電車だろ?」

瑛星だ。

「あ、うん。」

周りからニヤニヤした目で見られ、送り出された。

この前の告白なんてなかったかのように、瑛星は通常運転だ。

すると玄関で、
「おまえ、傘ある?」

「あるけど。」

「俺今日忘れたんだよ。入れろ。」

そういうことか。だから一緒に帰ろうって。あたしはあんたの傘か。

「しょうがないなぁ。」

校門を出るまでに、何度か視線が刺さった。
そっか、あたし今、イケメンと相合傘してることになるのか。

─好きならドキドキするんだろうな。

この前の瑛星の言葉が蘇る。
─それ、ほんとにお前の気持ち?─

違った。

そして、友達には「このままの関係がいいと言われた」ということにしてある。

悔しいことに、瑛星の言葉はドンピシャ。恥ずかしかった。