「ぐえっ!」

「きつくしないと着崩れしちゃうからね。」

今日は夏祭り。

無事に課題もクリアしたので、お母さんに着付けを頼む。

「よし!できた!」

そう言ってぽんと背中を押された。
時計を見ると待ち合わせの時間だ。

「行ってきまーす!」

玄関を出て古賀家のほうを向くと、翔ちゃんがもう出ていた。

急に心臓が高鳴る。

おさまれっ。
そう思いながら深呼吸。

慣れない浴衣に下駄、それとお化粧。

翔ちゃんはすぐにあたしに気づいたらしい。そのことに気づいて急ごうとしたが、浴衣と下駄がそれを邪魔する。

「ごめん、待った?」

「全然。今出たとこ。」

なにこれ、デートみたい。

会場に向かう途中から、もう花火が上がっていた。