そんな心境の中、聞こえてきたのは、そんな栗生の声。 ”いい”って、どういう意味? 私はそう思いながら、首をかしげる。 「俺さ、杉崎への気持ちはもう忘れるしさ。だから、いいんだよ。」 そう言って、屈託なく笑う栗生に、少し安堵を漏らす。 だって、”心菜への気持ちを忘れる”って、すごく難しい事だと思うから。 私だって、栗生への気持ちを忘れる事なんて、したくないし、悲しいし。 だから、栗生が屈託なく笑っているのを見て、少し、安心したんだ。