「なぁ」


口を開いたのは堤川さん


「なんで、こんなど田舎に来たの?」


……誰にも言ったことはない
聞かれたことも無かったから。

けど、なんでか堤川さんには
言ってもいいのかなと思った


『……うん、嫌になったの』


「仕事?それとも人間関係?」


『んー……染まっていく自分が。』


私の答えにピンと来なかった堤川さんは
ん?って顔をしていた


『毎日、朝から晩まで仕事で残業もして、それなりの成績も残した。毎日が目まぐるしくまわって……自分が笑えなくなっていったの』

『自分では笑ってたつもりが、笑えてなくて……人形みたいっていわれた』


2年付き合って、浮気された彼に……

「真紀といると、息がつまる。人形といるみたいで、楽しくない」


『そんな自分にだんだん嫌になって
身体中に汚物があるみたいで……だから何もかも吐き出したくなった』


『ここは空気も綺麗だし、人もいい人ばかり。ここに住むようになって、少しずつ私の身体から汚物が無くなっていった気がしたの』