ぶつぶつと何かを言っている
聞き取れない……

「……い。……あ……の、……い」
「あん……の、せ……よ」

「……殺してやる」


そう聞こえた時には女は
ナイフを向けて
私達に向かって走り出してた



ドンっ……
誠の身体に何かが当たった


まさか……まさか……



「……くっ……っ」


小さいうめき声は、誠ではなく
誠の前に立つ拓海のものだった


『た、拓海っ!』


私が拓海に近づこうとした


「くるなっ!!」


拓海の声にビクッとする


「真紀……大丈夫……」

誠の声がする。けど私の方は見ず
誠は何かを手にしてるようだった