定刻になり、西園寺家の自家用ジェットに乗り込んだ私達。

ニューヨークまでは、12時間程かかる。



「何かございましたら、何なりとお申し付けください」


にこやかな笑みを浮かべ、そう言うスタッフの女性に「ありがとうございます」と私も軽く会釈をした。


ここにいるスタッフは、全員お父様の元で働いている人たちらしい。

間島さんを始めとする屋敷のスタッフは、私達が不在の間に部屋の改装と大掃除をするらしく、今回はついて来なかった。




飛行機が離陸し、飛び立つ。

窓の外を見れば、明るかった空はいつの間にか暗くなっていた。

通路を挟んで隣に座る要さんは、英字新聞に目を通している。


ビジネスマンのような生活をしている彼。

毎日忙しなく動いていて、息つく間なんてあるのかと思ってしまうくらい。



そんな思いが浮かんだと同時に、1人の女の子の姿が思い出された。



―――いや、あるか。



彼にとってフッと肩の荷を降ろせる時間。

それは彼女との、あの穏やかな時間なのかもしれない。



私は気になっていた。

彼が、私との婚約をどうするつもりなのか。

そして、彼女との関係をどうするつもりなのか、が。