温もりを抱きしめて【完】

その後すぐに要さんが教えてくれた会社に連絡を入れると、急なお願いにも関わらず、明日の午前に間に合うよう食材を届けてくれることになった。

クラスのみんなもそれを聞くと、安堵して「よかった」と口々に言う。

私は電話を切り終えると同時に、大きな溜息をついた。



「よかったね。急な注文でも受け付けてくれるところがあって」


他の食材係りである綾子ちゃん達がそう言うと、私は持っていた名刺を見つめた。


「...ココ、西園寺くんが教えてくれたの」



生徒会室での出来事を思い出す。

ぶっきらぼうな言い方だったけど、それは彼が初めて私に向けてくれた優しさだったように思える。




『頑張ってる人をちゃんと見てくれてるんだ、あの人』


いつだったか、夏希ちゃんが彼のことをそう言っていたのを思い出す。



...私の事も、頑張ってるとそう認めてくれていたんだろうか。



まだ知らないことだらけだけど。

ほんの少し、彼についての印象が変わった気がする。

敵意だけじゃなく、僅かに垣間見えた優しさが。

今の私には、単純に嬉しく思えた。