「...さっきさ、西園寺が来てて言われたんだ。『忙しくて余裕がない時ほど、他人を思いやる気持ち忘れんなよ』って」


委員長は頭をガシガシと掻くと、はぁーと大きな溜息をついた。


「それ聞いた瞬間、俺めっちゃかっこわりーって思っちゃって。自分の作業で手一杯で、周り見る余裕なかったんだと思う。ホントごめん」



もう一度頭を下げる須藤くんに、私は「ううん」と返した。


「私こそ、忙しさにかまけて確認を怠ったんだもの。みんなに迷惑かけたことには変わりないし...ごめんね」



「何かごめんばっかで終わりそうにないな」と、私の言葉に笑う須藤くん。

それを聞いて、私の口元にも思わず笑みが零れてしまった。


「とりあえず、教室戻ろうか。みんなも待ってるだろうし」


「うん」





教室に戻ると、私達を見たクラスのみんなが駆け寄ってきた。


「伽耶ちゃん、ごめんね。全部任せっきりにしてて」

「俺らも、無神経なこと言ってごめん」


そんな彼らを見て、私は両手を顔の前で振って慌てて謝った。

だって迷惑をかけたのはホントだし、そう言われるのは申し訳ないと思った。


「ううん、元はと言えば私のミスだし。みんなが謝ることないよ」


すると、後ろから肩をポンと叩かれた。

視線をずらして叩いた主を見ると、須藤くんが笑って私を見ている。


「だから、クラスで起きたことは連帯責任。だれか1人が悪い、じゃないんだよ」


「な、みんな?」と周りを見渡す須藤くんに、みんなも頷いた。



「それよりも、早く電話かけちゃおうぜ。そこがダメだったら、何人かで手分けして近所の店にかけるぞ。とりあえず他のメンバーは、自分の作業進めてて」


須藤くんの指示に、みんな「オッケー」とか「了解」と返事をすると、持ち場に戻っていった。