その後の校内視察は、特に問題もなく終わった。

装飾などはどこもほぼ完成していて、明日最終チェックや確認をするところがほとんど。

俺は一旦生徒会室に戻り、他のメンバーを帰す。

それから残っていた仕事を片付けて、ようやく帰路についた。



「「「おかえりなさいませ、要様」」」


家に着き、いつものように使用人たちに出迎えられる。

ネクタイを緩めながら、その真ん中を通っていくと、間島が一礼して俺が渡したかばんを受け取った。


「おかえりなさいませ、要様。本日も遅うございましたね」


チクリとした間島の言葉に、朝のやり取りを思い出す。

一緒に食事を摂るように言われていたが、今日の帰宅も20時を超えていた。


「…あいつは?」

「今日はお疲れのようで、食事をされた後お部屋で少しお休みになられております。要様がお帰りになったら、お声がけするようことづかっておりますが」


部屋に向かいながら、思考を巡らす。


「着替えたら部屋に行くって伝えといてくれ」

「かしこまりました」


俺の言葉に恭しく一礼した間島は、部屋のドアをどうぞと開けてくれた。

ネクタイをスルリと抜き取って、ボタンを外し始めると、後ろの方で「では失礼します」とドアがバタンと閉まる音が聞こえた。