「ココの花壇もウチの部が担当」

広い校庭を歩きながら、園芸部が世話をしている花壇の場所を一つずつ丁寧に教えてくれる夏希ちゃん。

思ったよりも園芸部の担当している花壇は多くて、確かに4人で世話をするのは大変そうだった。


「週に1回ミーティングがあるけど、それ以外は各自担当してる花壇の世話を好きな時にしてるって感じかな。花の水やりくらいなら、みんな昼休み使ってやってるよ」

「そうなんだ。…私は具体的に何すればいいの?」

「伽耶はとりあえず慣れるまで、私と一緒に花の手入れの仕方覚えてもらおうかな」

「放課後は行ける日が限られてるけど、昼休みなら時間は取れると思う」

「そ?なら、明日からやろっか」


昼休みはどうせ1人で過ごすことが多いし、放課後に時間があまり取れない分昼休みを有効活用したい。


「うん、わかった」


私の返事を聞くと、嬉しそうに笑う夏希ちゃん。


向けられた真っ直ぐな好意をあまり感じたことがなかった私には、戸惑うこともあるけれど。

単純に嬉しかった。

こんな些細なことで笑ってくれる。

たったそれだけのことだけど、彼女の力になってあげたい、とそう思えた。