「「「「おかえりなさいませ、伽耶様」」」」


学校から帰ると、玄関に並ぶ屋敷のスタッフが私を出迎えてくれる。


要さんと私しかいない家に、こんなにもたくさんの使用人が勤めている所を見れば、やっぱり西園寺家の地位と財力はすごいんだろう。


この待遇にまだ慣れない私は、いつも頭を下げながら彼らの前を通っていく。



「今日の学校はいかがでしたか?」



スッと私の隣に来た間島さんに、持っていたかばんを渡して自室へと向かう。



「今日は...部活動の勧誘を受けて、園芸部に入ることにしました。習い事に支障が出ない程度に参加するだけなので、大丈夫ですか?」


ちらりと間島さんの方を見ると、にこやかな笑みを浮かべて私を見ている。


「ええ、もちろん。調整が必要でしたら、おっしゃってくだされば講師の先生方には話しを通しておきますので」

「じゃあ、その時はお願いします」

私の言葉に間島さんは「かしこまりました」と返した。




部屋の前についた私は、廊下を挟んだずっと奥にあるドアに目を向ける。



「...今日は、もう帰ってらっしゃるんですか?」


私がそう尋ねると、「ええ」と後ろから声が聞こえた。


「そうですか…」


それだけ言うと、私は部屋のドアを開けてもらった。



「夕食の時間に、またメイドが来ますので」


「分かりました」


かばんを受け取ると、頭を下げる間島さんにそう返事をした。


バタンとドアが閉まり、静かになった部屋の中で、私は小さく溜息を吐いた。