「そうそう。今まで特定の彼女なんかいなくて、いろんな女の子との噂が絶えなかったんだけどね」


それは、何となく分かる気がした。

容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。

性格は正直よく分からないけど、全校生徒を先頭で引っ張っていけるくらいのリーダー性があるのは確かだし。

おまけに世界を股にかける大財閥、西園寺家の跡取りともなれば周りが放っておかないだろう。

事実、彼女がいるにも関わらず、たまに見かける彼の周りにはいつも女の子がいた。

1人の女の子に笑いかける姿より、大勢の女の子をはべらせているそんな姿の方が違和感がない。


「それが、藤堂さんと付き合うようになってから一切女遊びもやめちゃって」


「今じゃ全校生徒公認の彼女だもんね」


そんな話を聞いて、またあの時の要さんの姿が思い浮かんだ。

彼女のことを大切に思ってる、そんな気持ちが滲み出た表情だった。



「みんなは、それでもいいの?」


「もちろん!中には彼女の事よく思わない人もいるらしいけど、私たちは付き合いたいとかそういうのじゃないし」


「そうそう。どっちかっていうと、アイドルみたいな存在だよね」


「西園寺様が幸せなら、それでいいもん」



私はそんな彼女たちの事も、少し意外に感じた。

あれだけキャーキャー騒いでるから、「彼女なんて許せない!」っていうタイプだと思ってたけど。