温もりを抱きしめて【完】

「伽耶様っ!」


丁度22時を回った頃。

帰宅した私を一番に出迎えてくれたのは、メイドの三上さんだった。



私が意識を失った後、女性が救急車と警察を呼んでくれた。

サイレンの音が近くなって私は目覚め、簡単に事情を警察に伝えた後、救急車で病院に運ばれた。

幸い抵抗した時に出来た擦り傷しかなく、その手当てをしてもらうだけで済んだ。

病院に一緒にやってきた警官によると、犯人も男性が捕まえてくれたお陰で逮捕されたそうだ。

事情聴取も必要だったみたいだけど、今日は遅いのでまた明日以降になるとのこと。

それから知らせを聞いた間島さんが病院まで迎えに来てくれて、こうして屋敷に帰ってきた。


「ご無事で安心しました!」


泣きそうな顔で私を見つめる三上さん。

私より年上なのに、その表情は子どもみたい。

そんな彼女に私は、出来るだけ口角を上げて笑ってみせた。


「心配かけてすみません。擦り傷で済んだので大丈夫ですよ」

「ならよかったです。今日はゆっくりお休みになってくださいね」


ホッとした様子の三上さんに「そうします」と返事をして、今度は間島さんと二宮さんの方を向いた。


「今日はお二人にもご迷惑おかけしてすみませんでした」


元はといえば、私が勝手なことをしたからこんな事に巻き込まれた。

警察や病院の人に対応する間島さんや、心配そうな顔をして迎えに来てくれた2人を見て、自分の考えの甘さを痛いほど感じた。


だけど、2人が私を咎めるような事はなかった。

ただただ私の無事に安堵し、手当てしてもらった右腕や脚の傷の心配をしてくれた。


「伽耶様がご無事で何よりです。窮屈かとは思いますが、今後移動は二宮の車でしていただくようお願いします」


間島さんの言葉に、私は「分かりました」と答えた。


「今日は本当にすみませんでした。以後、気をつけます」

「では、今日はお部屋でゆっくりお休みになってください」

「はい、おやすみなさい。」


間島さんと二宮さんに一礼をして、三上さんと部屋に戻ろうと階段へ向かう。

だけど、私の足はそこで止まった。


なぜなら階段の上には、階段の手すりにもたれて私を見つめる要さんがいたからだ。