温もりを抱きしめて【完】

人通りが多かった道を抜けて、閑静な住宅街までやってきた。

ご飯時だからかひと気はなく、ホントに静かな通りだ。



しばらく歩いていると、小さな公園が見える。

中にはすべり台とブランコ、そして鉄棒があった。


すべり台といえば、昔京都のおばあちゃんちに泊まりに行った時によく滑っていた。

その公園には近所にいる同じ歳くらいの男の子がいつもいたけど、1人ぼっちで寂しそうにしていたから、声をかけるとすぐに仲良くなったんだっけ。


随分小さい頃の話だから、あんまり覚えてないけど。


「……懐かしいな」


吸い寄せられるように公園の中へと足を踏み入れ、すべり台の側に立った。

あんなに大きく感じていたすべり台も、今となっては大きさも高さも違ってみえる。



手に持っている紙袋を見つめる。

衝動的に買ってしまったけど、これを渡して…要さんは喜んでくれるかな。

冷静になってみると、何だかそれが不安になってきた。


ずっと前。

初めて中庭で彼女といる要さんを見た、あの日を思い出す。

私には冷たい顔しか見せなかった彼の、穏やかな表情。

彼女からクッキーを受け取る要さんは、どこか優しさが溢れていた。



「……反応、怖いな」



このプレゼントを渡して、どんな表情をされるのか…考えると怖かった。

そこには、やっぱり彼女には勝てないという私のネガティヴな気持ちが根底にあるからだと思う。



そんな事を考えている途中。

不意に後ろからカサッという音が聞こえてきた