「ありがとうございましたー」


あれから1時間以上も悩んで決めたプレゼントを手に、私は店を後にした。

何せ異性への、ましてや好きな人へのプレゼントなんて初めてで何がいいのか分からず、決めるのに随分時間がかかってしまった。

オレンジ色だった空はいつの間にか暗くなっていて、急いで駅まで向かった。

丁度帰る時間が他と重なっていて、電車内は満員。

私は電車に乗っている間中ずっと、プレゼントがぐしゃぐしゃにならないように胸元で大事に抱えていた。



最寄りの駅に着き、改札を出た私は手元の携帯を見つめた。

時刻はまだ19時すぎ。

今日の夕食は要さんの用事の都合で、20時頃になると聞いていた。

ココから屋敷までは、徒歩でだいたい20分くらい。


ーーー歩こうかな。


時間もまだ早いし、距離だってそう遠くない。

西園寺家に越してきてすぐに、ココから屋敷まで歩いたことは何度かある。

私は二宮さんと間島さんにメールだけして、携帯をカバンにしまった。

電話する、という手もあったけど、多分断わられると思ってやめた。


だって今日は、夜風に当たりながら外を歩いてみたかった。

日常からちょっと離れて、いつもと違う気分に浸りたかった。