温もりを抱きしめて【完】

「ちょっと聞いてるの?!」


パシンという乾いた音と、頬の痛みにハッとした。

思わずそこに手を伸ばし、前を見るとリーダーの女の子が少し興奮気味にこちらを見ていた。



「私たちは…西園寺様の本命だったから彼女とのことも認めてきた。だけど、いきなり出てきたアンタと政略結婚なんて…っ」



要さんの熱狂的なファンでさえ、彼女のことは認めていたんだ。

裏を返せばそれくらい2人の仲は、良かったということだ。

こんなやり方はいただけないと思うけど…彼女の言うことも分かる気がした。

だからといって、この婚約が解消されることなんてそれこそあり得ない話だけど。



こうなったら気が済むまで話させる方がいいのかも…と思い始めた私は、ただ黙って彼女の話を聞いていた。






そんな時、教室の前のドアがガラリと開き、その場にいた全員の視線が音がした方に向いた。


「こんな所で何やってんの?」


そこにいたのは、少し息を切らして私の前にいる女の子たちを睨みつける夏希ちゃんだった。