『話がある』と言って連れてこられたのは、さっきいた棟とは随分離れた場所にある空き教室だった。
人気のないココは、私が入学当初昼休みによく来ていたあの棟だ。
「何で呼ばれたか、分かってるわよね?」
両腕を組んで、私を睨みつけるリーダー格っぽい女の子。
派手目な化粧の所為か元々なのか、釣りあがった目が彼女をより一層強気に見せた。
その後ろには5、6人の女の子が同じように私を睨みつけていて、こちらをじっと見ている。
「...いえ、」
連れて来られた目的は、何も告げられていない。
おそらく要さんの事だろうとは思ったけれど、私はそれを口にしなかった。
そんな私の返答にムッとした彼女は、眉間に皺を寄せて私を見る。
「西園寺様のことよ!アンタ婚約者なんですって?」
...やっぱり、要さんの事だった。
そう言えば、いつだったかすみれちゃん達が彼のファンの中には彼女との交際を反対してる人もいるって言っていたのを思い出す。
きっと、目の前にいる彼女たちもその一部なんだろう。
「...ハイ、そうですけど」
「はい、そうですじゃないわよ!有り得ない!何なの!」
感情的になり始めた彼女とは対照的に、私の心は案外冷静だった。
婚約パーティの時にも感じたけど、要さんのことを好きな女の子は私が思ってる以上にたくさんいる。
目の前にいる彼女も、藤堂さんも...そして私も。
その度合いは分からないけど、想いの根幹は同じ。
報われない気持ちが、彼女をこうさせてると思うと何だか怖くなった。
要さんが結婚を決めた相手は大事にしている彼女ではなく、私だった。
だからと言って、彼の気持ちが私に向いた訳でもない。
立場的には、目の前の彼女と変わらないのだ。
ただ『婚約者』という飾りがついただけで、要さんの心には今だって彼女を想う気持ちが離れないのだから。
人気のないココは、私が入学当初昼休みによく来ていたあの棟だ。
「何で呼ばれたか、分かってるわよね?」
両腕を組んで、私を睨みつけるリーダー格っぽい女の子。
派手目な化粧の所為か元々なのか、釣りあがった目が彼女をより一層強気に見せた。
その後ろには5、6人の女の子が同じように私を睨みつけていて、こちらをじっと見ている。
「...いえ、」
連れて来られた目的は、何も告げられていない。
おそらく要さんの事だろうとは思ったけれど、私はそれを口にしなかった。
そんな私の返答にムッとした彼女は、眉間に皺を寄せて私を見る。
「西園寺様のことよ!アンタ婚約者なんですって?」
...やっぱり、要さんの事だった。
そう言えば、いつだったかすみれちゃん達が彼のファンの中には彼女との交際を反対してる人もいるって言っていたのを思い出す。
きっと、目の前にいる彼女たちもその一部なんだろう。
「...ハイ、そうですけど」
「はい、そうですじゃないわよ!有り得ない!何なの!」
感情的になり始めた彼女とは対照的に、私の心は案外冷静だった。
婚約パーティの時にも感じたけど、要さんのことを好きな女の子は私が思ってる以上にたくさんいる。
目の前にいる彼女も、藤堂さんも...そして私も。
その度合いは分からないけど、想いの根幹は同じ。
報われない気持ちが、彼女をこうさせてると思うと何だか怖くなった。
要さんが結婚を決めた相手は大事にしている彼女ではなく、私だった。
だからと言って、彼の気持ちが私に向いた訳でもない。
立場的には、目の前の彼女と変わらないのだ。
ただ『婚約者』という飾りがついただけで、要さんの心には今だって彼女を想う気持ちが離れないのだから。
