全校集会が終わり、教室に戻ってHRが終わると今日は下校になった。


明日には課題テスト。

土日が休みで、月曜日になるとまた通常通りの授業が始まる。



私は、いつもと違って運動部の掛け声が聞こえてこないグランドを横目に見ながら、職員室へと向かっていた。

夏休み前に提出していた進路希望調査用紙を、訂正したものを提出するためだ。

1学期が終わった時点では、何も決まっていなかった私の進路。

形だけでもいいから、ととりあえず提出した紙には帝桜学園の付属大学に内部進学する書いておいた。



だけど、要さんとの婚約によりその曖昧だった進路も変わった。

来年の春に帝桜を卒業した後、要さんはお父様の会社の本社があるニューヨークの大学へ進学する。

そこで勉強もしながら、本格的に仕事についても学ぶ予定だそうだ。

婚約者である私も、当然そこへついていくことになった。




それにしても、今日は婚約の件で何か大きなトラブルが起きるかもしれない、と気を揉んでいたけど特に何事もなく1日が終わろうとしていた。

ひそひそ声で何か言われている様子はあったけど、直接何かあった訳ではない。



「...気にしすぎかな」



そんな独り言を呟きながら、私は誰もいない廊下を歩いていた。




だけど、担任の先生に渡す書類を職員室まで届け終え、油断していた私を出迎えたのは、キッとこちらを睨みつける数人の女子生徒たちだった。