「ここの喫茶店、お茶がおいしくて私のオススメなの」


次の日。

園芸部の活動を終えた私達は、夏希ちゃんの案内で学校の近くにあるこじんまりとした喫茶店へとやってきた。

ちらほらとお客さんがいるけど、客層はサラリーマンや老夫婦といった少し年齢層は高め。

ジャズが流れる店内は、落ち着いた雰囲気でオシャレな感じだった。


「伽耶は何頼む?」

「んー、じゃあアイスティーにしようかな」

「じゃあ、私もそれで」


注文を聞きにきた店員さんにそう告げると、夏希ちゃんはメニューをパタンと閉めてテーブルのラックに立てかけた。


「それにしても、暑いよね~!朝の早い内にと思ったけど、早朝でも十分暑いんだから」

夏希ちゃんはそう言うと、シャツの端を引っ張ってパタパタと手で仰いだ。

「真夏になると、花の手入れもより一層大変だね」

「ホント、それ!」




「お待たせしました」

夏希ちゃんの声が大きくなったところで、丁度注文していたアイスティーが運ばれてきた。


店員さんがスッと置いてくれたグラスが揺れると、中の氷がカランと音を立てて、それだけで涼しい気分になる。



「では、ごゆっくりどうぞ」


一礼して店の奥へと戻っていく店員さんを見届けると、今度は夏希ちゃんの方を向いた。



「で、話って何なの?伽耶」

ストローに口をつけたまま、夏希ちゃんはそう言ってじっと私を見つめていた。