「遅いな~何やってるんだろう」会社帰りの待ち合わせ。今日は山本が仕事早く終わったから夕食を食べて帰る約束。
腕時計の針は19時半を廻った所。暇だな~喫茶店に置いてある雑誌でも読んで待ってようかな。
思いたって座っている席より3メートル離れた所に古びた茶色いカラーボックスがあったので手を伸ばす。こういうレトロな喫茶店ほど掘り出し物が眠っている。男性用週刊誌に連載されている漫画はイヤラシイ作品が多く疼いた下半身を満たすには最適。だが今日はデートさすがに山本の前で興奮しながら読み耽るのは恥ずかしい。女性らしい雑誌でも読む事にしよう。
am、amやcan、camを探して視線を左上に移したら2メートル先のテーブル席に3人の男性グループが大きな声で笑っていた。その中に保阪がいた。
足早に立ち去りたかったが足がすくんで動けない。視線が合わないように雑誌でも読みながら逃げようと近くの雑誌に手をとったら保阪がいるテーブル席から話し声が聞こえてきた。
「お前最近ビッチと別れたんだっけ?」髪に緩くパーマを掛けたホスト風の男がニヤニヤしながら保阪に話し掛けた。
「ああ、3年続いたけど変わった女で会話が成立しないんだよな。アニオタだし。キメーヨ。今時幼稚園児が見るようなアニメ真剣に見て感動してるしアニメフェスタにも連れて行かれたしよー。でもHだけは最高。コスプレしてくれるし、巨乳でEカップあるって言ってたな。ロリ顔でルックスは悪くないよ。リクエストに何でも答えてくれるぜ」ガハハと笑いながら友達に話す保阪。
「マジ!生でさせてくれる?」ホスト風男が舌をなめ回しながら言った。
「ジャね。馬鹿だから。紹介しようか?俺飽きたし本命いるしね。27歳、看護師。アイツとは比べ物にならないぐらい美人。頭いいしね。会話も噛み合うし最高だよ。巨乳じゃないけど、こいつとなら結婚もありだな」
「いいね~ノロケだね」耳にピアスを開けた長髪が保阪の頭に軽くパンチをしながらガハハと楽しそうに笑っていた。
この場にいるのが、きつくて店を出ようと後ろを振り返ったら山本がいた。
「出よう」こう言って震える私の肩を抱き寄せ足早にお店を出た。