今の話を聞いていたのか会話が終わって2人無言になっていたら亜美さんが私に「奈都子さん。お酒がなくなったみたいなの。一緒に買い出しに行かない?」


「はい。行きますか」
誘ってくれて良かった。
なんか気まずくて連れ出して欲しかった。


街から少し離れた郊外に建てられた新しい一戸建てが建ち並ぶ■■タウンの一角車庫付き3階建てのベージュ色の一戸建てが亜美さん夫婦宅。リビングの大きな窓から沢山の光が取り組めるようになっている。


「ごめんね。連れ出して。」黒の軽自動車タントに乗り込みながら亜美さんが言った。
「いいえ。連れ出してくれて助かったです」
私も慌てて助手席に乗り込む。
「なんかヘタレが黙りこんじゃって見るにみかねてさ」
前髪を上げたボブスタイルの亜美さんは自分の頭を軽く叩きながら言った。

「ヘタレ?」

「昔から思っている事言えない奴だからね。隆司は。情けない男なの!だからあだ名はヘタレ。私が付けてもう10年。未だにヘタレなの」


面白いあだ名に、つい吹いてしまった。山本がヘタレ!?見えないけど。

「亜美さん男前すぎ!でも格好いいな。憧れる」
きっと人の世話焼きとか知らないうちにしてるんだろうな。


「よく性格男だねって言われるんだよね。後怖いとかさ」

「そうかな。サッパリして姉御肌で私は好き」
友美と感じ似てるかも。
こんな人と仲良くなったら楽しんだろうな。

「有り難う。そんな事言ってくれる人って少なくてさ。今日、嬉しくて眠れないかも」
鼻の下に人差し指を当てながら照れてる亜美さん。
可愛いなぁ
私が男だったら惚れてる。
「あ、あの亜美さん。迷惑でなければ私と後で連絡先交換して」
彼女とはもっと話したいし仲良くなりたいな。
こんな風に思える人に久々に出会えた。


「今忘れないうちに交換しよ。」と亜美さんは携帯を取りだし赤外線受送信して連絡先をお互いに交換した。