彼とはHの後すぐ別れた。優しかったけど気持ちを正直に語ってくれない山本にいいようのない淋しさに襲われた。


山本は食べ損ねた夕食のリベンジに行こうと誘ってきたが、とてもそんな気にはなれず断って帰ってきてしまったのだった。


1DKの昭和時代に建てられた一棟タイプのアパートに帰るには気が重く一年ほど会っていなかった友達に電話を掛けた。


「もしもし~友美?今話して大丈夫?」
大学時代、所属したアニメサークルで仲良くなった友美。


小柄な私とは正反対でスレンダーな体型。
身長も170㎝台、小顔で目も大きく唇も小さい。小動物に例えるとリス、モモンガに似てる。


「ナツ!久しぶり~元気だった?」かすれた低い声が色っぽい。
「体調は元気だけどメンタルがね…」
「やっぱり。私の所に掛けてくる時は決まってナツ弱ってるもんね。頻繁に連絡してこいって何度も言ってんのに!」語尾を強めながら言う。


「だって友美、既婚者だし子供もいるから頻繁に掛けれないよ」姉御だな。友美は…話してて安心する。
男前な性格で思った事ハッキリ言ってくれるから信用出来るんだ。


「今から友美のとこ行っていい?久々に語りたいんだけど」
「今から?いいよ!旦那も出張でいないし、風雅も、おばあちゃん家に泊まりに行ったから暇してたんだ」笑声でこう答えてくれた。

「ありがとう!急にごめんね」こんな時、聞いてくれる友達がいて救われる。
「いいよ。その代わり、お土産はベイクドチーズケーキね」気を使わせないようにしてくれる。友美にいつも憧れる。